委員会・分科会活動/ダム事業のITに関する調査分科会
3. アンケート集計結果
3.2 測量・設計会社
3.2.1 業務データの電子化
 測量会社については、データについてはファイルサーバーへの保存が42%(5 社)、各自のパソコンへの保存が33%(4 社)、CD・MO への保存が25%(3 社)となっている。また、資料の電子化によってメリット・デメリットの両方があったとしている割合が83%(10 社)となっている。メリットのみがあったとしている割合は8%(1 社)と低かった。
 設計コンサルタントについては、80%が電子化のメリットとデメリットの両方があると答えている。さらに、メリットのみがあったとしている割合は9%となっている。デメリットしかないとしているものはわずか2%であった。データの保有状況としては、ファイルサーバーが49%、CD・MO への保存が29%、さらに各自のパソコンへの保存が13%となっている。
3.2.2 CAD
 測量会社については、保管するデータの中身については、納品時のCAD データと測量時の生データの両方を保存するとしているところが83%(10 社)となっており、CAD データのみ保存するとしているところは17%(2 社)である。企業者へのデータについては、92%(11 社)が主として2次元データを納品している。設計コンサルタントについては、企業者より、成果品の納入時にCAD 製図基準仕様であるSXF 以外のCAD データを求められたという回答が90%と圧倒的に多く、それも市販ソフトであるAutoCAD(米国Autodesk 社)のデータ形式(DWG 形式)およびその互換形式(DXF 形式)が82%となっている。
3.2.3 電子納品
 測量会社については、電子納品への不満があるとしている割合が、50%(6 社)となっている。
設計コンサルタントについては、現状における電子納品の項目の1つである図面データは、企業者に対しては、電子納品用としてのSXF 形式と実作業用としてのAutoCAD データ形式の2形式が必要となっている。この背景にはCAD 図面ソフトウエアのシェアをAutoCAD が圧倒的に占めていることがある。また、SXF はAutoCAD データとの互換性(細部の変換等)に課題がある。
 また、電子納品について52%が問題ありと指摘している。問題点としている事項は、紙と電子データの2重提出や、多くの手間がかかることなどがあげられている。
3.2.4 ITの高度利用
 測量会社においては、トータルステーションを用いた三次元測量の実績のある割合が50%(6社)となっている。設計コンサルタントは、現場調査時にGPS を活用している、もしくは導入する予定があるとされているものも含めると29%となっている。実際の活用方法としては、基準点測量や現地踏査時の位置確認などがある。
3.2.5 電子データの利活用
設計コンサルタントについては以下の通りである。
① データフォーマットの共通化
 データフォーマットを各部門で共通化することによって、合理化に寄与すると考えられているものは、環境影響評価に関連するデータ、水文観測データ及びそれらに関する統計解析データ、貯水池の水質、ダムサイト選定調査、地質調査・解析、堤体挙動地すべり調査関連であり、50~60%程度に上る。その他の項目でデータフォーマットを共通化することで合理化に寄与するとの要望が高いものは、貯水池管理データとして、貯水池の水質、水温、降雨量、流入量、放流量などの水文データについては約40%程度、
 また、地すべり挙動データついても約40%程度となっている。データフォーマットは、調査関連項目の環境・地質については、企業者指定、会社内統一フォーマット、各担当個人のフォーマットが、ほぼ均等に使用されており、傾向が定まっていない。また、設計関連項目のダム基礎設計、耐震設計など具体的な詳細設計や、施工関連においては各担当のフォーマットによりデータを扱っている割合が多い傾向となっている。
② 利用ソフト
 利用ソフトは、全体的な傾向として市販ソフトの使用割合が高く、中でも、ボーリング調査、地すべりの解析ソフトの割合が、他と比較するとやや多くなっている。
 社内開発ソフトを利用している項目としては、流出解析、水質の予測関連などが比較的多い。
③ データの保存形態
 データの保存形態は、ファイルサーバーへのものが全般的に多くなっている傾向があるが、ダム基礎設計、耐震設計などの詳細設計や、施工関連においてはファイルサーバーとCD・MO を使用している割合が同程度であり、保存形態は一定の傾向を示していない。
 試験湛水や管理段階における堤体挙動データ、貯水池管理データ等については、CD・MO による保存が比較的多い。
 また、個人のパソコンに保存する割合も、全体のおよそ5~10%程度を占めており、少なくはない。
④ 既存データが提供された場合の利活用
 既存のデータが提供された場合におけるデータ利活用は、全体的な傾向として既存デ
ータを修正して活用する割合が多い。
 データを全く活用していない割合は全体の数パーセント程度にとどまっているが、既存のデータを参照のみで活用している割合は約20%程度となっている。
3.2.6 ダムIT化に期待する将来像
 今後のIT利用の将来像として、三次元データによるデータの活用リサイクルの活性化などがある。
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