会長挨拶

                      柳川 城二

本年2月24日に開催された定時社員総会及びその後の理事会において、この度、橋本前会長の後任の代表理事に選任され、第13代日本大ダム会議の会長を務めさせていただくことになりました。大変、身の引き締まる思いがいたしますが、この歴史と伝統のある日本大ダム会議の運営に全力で取り組む覚悟でありますので会員をはじめ皆様方の引き続きのご支援とご協力をよろしくお願いします。去る3月4日に長年の懸案でありました八ッ場ダムの定礎式が挙行されました。私は、もう25年くらい前になりますが、平成3年から6年にかけて八ッ場ダム工事事務所長を務めさせていただきましたので、歴代所長の一人として、この式典に参加しました。ようやくここまで来たかという感無量の思いでした。

2年前に着工式が行われた際は、昭和27年の事業着手以来、63年ぶりの着工ということで話題になりました。
八ッ場ダムでは、数年前の民主党政権下での突然の中止表明があり、大変な混乱が生じました。長い歴史の中ではこの他にも幾多の試練がありましたが、それらを乗り越えて、今日ここに至りました。ここまで来た以上、一日も早い完成を願うばかりです。

八ッ場ダムは特別かもしれませんが、ダムを一つ完成させるためには水没地の地権者をはじめ水源地域の関係者の協力と合意形成に大変長い年月がかかりますし、多大の費用も要します。調査・計画段階、補償交渉段階、工事段階それぞれの段階で多くの人が関わり、その時々の課題に悪戦苦闘し、駅伝のようにバトンを後任者が受け継ぎ完成というゴールを迎えることになるわけです。

こうして出来上がったダムはそれぞれの地域の重要な公共財産として、洪水被害の軽減、安定的な水利用の実現、水力発電によるクリーンエネルギーの開発に寄与しています。

ダムによる洪水調節については、数年前の、桂川の日吉ダムや鬼怒川水害における鬼怒川4ダム等の事例にみられるように、洪水被害の軽減に大きく寄与しています。最近では、このようなダムの洪水調節による効果がSNSを通じてリアルタイムで広まることもあり、洪水被害の軽減に寄与するダムの役割が広く認識されるようになりました。つい最近まで、無駄な公共事業の代名詞のようにダムが扱われていたことを考えますと隔世の感がいたします。

我が国の河川の治水対策として、ダムによる洪水調節は、依然として最も有効な手段の一つであり、既設ダムを有効に機能させるとともに、新規のダムの建設が厳しい状況にありますが、既設ダムの再開発も含めた洪水調節容量の増大に今後とも努力していく必要があると思います。

我が国のダム建設は、昭和40年代、50年代がピークで、新設ダム数は年々減少する状況にあります。一方、完成後長期間経年したダムが多くなっており、これらのダムの安全管理が課題となっています。

政府においては、平成24年12月の中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故を契機に完成後長期間経年したインフラの老朽化対策、長寿命化対策が積極的に進められており、ダムについてもこの対策の一環として、4年前には国土交通省から「総合点検実施要領」が示され、日常点検や定期検査に加え、それまで任意で行われていたダムの総合点検をおおむね30年を経過したダムのすべてにおいて実施することを義務付け、ダムの安全管理の徹底と長寿命化計画の作成が進められています。

また、国土交通省においては、既設ダムの再開発も含めた徹底的な有効活用を図ることを目的とした「ダム再生ビジョン」の作成作業が現在進められています。

日本大ダム会議においても技術委員会の下に「既設ダム機能活用検討分科会」を設置して検討を行っており、この分科会の検討の成果は、「ダム再生ビジョン」の具体化に寄与するものと期待しています。

日本大ダム会議は、設立以来、長い歴史がありますが、国際大ダム会議の加盟国として、毎年開催される年次例会、3年ごとに開催される大会において、各種技術委員会に国際委員を派遣してダム技術の国際交流を進めるとともに、シンポジウム等での論文発表、技術展示会においての我が国のダム技術のPR等積極的な活動を行ってきました。また、国内においては、ダム設計基準の作成をはじめ、我が国のダムの建設・管理に貢献する多くの活動を行ってきました。日本大ダム会議にはダムに関係するあらゆる分野の皆様が会員として加入をしていただいております。海外のダムの建設・管理に関する技術協力のあり方や建設工事への事業参入の拡大に向けた取り組みも課題となっていますが、今後とも、この日本大ダム会議の特徴と強みを大いに生かして、積極的な活動を進めてまいりたいと考えています。

先日、アメリカのカリフォルニア州水資源局が管理するオロビルダムの非常用洪水吐が決壊するおそれがあり、ダム下流域約19万人に避難命令が出されたということで大きなニュースになりました。幸いにも現在は水位が低下して危険な状態を脱したようですが、日本大ダム会議ではリアルタイムの正確な情報を収集し、情報提供を行いました。このような海外のダムに関する情報の収集も日本大ダム会議の重要な役割の一つと考えており、今後とも的確な対応に努めていきたいと考えています。

今後とも皆様方のご支援ご協力をよろしくお願いします。

 

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