委員会・分科会活動/地震時のダム安全分科会
活動目的
地震時のダムの安定性について、耐震設計法として、従来の震度法を踏まえて、動的解析による既設ダムの耐震性照査に主眼をおいた調査検討を実施し、21世紀のダムの耐震設計法を考える上で有益な情報を提供する。
活動期間
平成11年度~平成13年度 (3年間)
活動結果
当報告書では、第一章では、ダムの耐震設計法の現況を簡潔にレビューし、過去の世界の代表的な地震被害事例について記載した。これらを踏まえ、ダムの耐震設計における震度法の位置づけについてコメントを加えた。第二章では、動的解析による耐震性能の照査に関して、土木学会の提言および耐震設計ガイドラインを踏まえ、ダムが保持すべき耐震性能とその照査手順について記述した。第三章では、ダムの耐震性能照査に用いる入力地震動の策定法について記述した。第四章では、動的解析による既設ダムの耐震性能照査法に関して、先進的な研究事例を中心に記述した。
第三章に記載した震源断層に基づく地震動の策定、第四章に記載した非線形領域の動的解析と安全性評価等については、まだ研究段階にあり、既設ダムの耐震性能照査の実務に適用できるまでには至っていないが、21世紀のダムの耐震設計法を考える上で有益な情報を提供している。
以下に報告書「既設ダムの耐震性能評価法の現状と課題」の目次を掲載する。(報告書は会誌第 180号2002-7に掲載)
第一章 ダムの耐震設計法の現状と地震による影響
 1.1 我が国におけるダムの耐震設計法の現状
  (1) ダムの耐震設計の変遷
  (2) 河川管理施設等構造令によるダムの耐震設計法
  (3) 修正震度法と動的解析による耐震性能照査
  (4) ダム建設と活断層調査
 1.2 海外の耐震設計
  (1) 米国の耐震設計
  (2) 中国の耐震設計
 1.3 地震によるダムへの影響
  (1) 国内の事例
  (2) 海外の事例
  (3) ダムにおける地震観測記録
 1.4 震度法の位置づけ
第二章 ダムにおける耐震性能照査
 2.1 既設ダムの動的解析による耐震性能照査の必要性
 2.2 土木学会の提言とガイドライン
  (1) 「土木構造物の耐震基準等に関する提言(第一次提言)」
  (2) 「土木構造物の耐震基準等に関する第二次提言」
  (3) 「土木構造物の耐震基準等に関する第三次提言」
  (4) 「土木構造物の耐震設計ガイドライン(案)」
 2.3 ダムの耐震性能と照査
  (1) ダムの耐震性能
  (2) 耐震性能照査の手順
第三章 ダムの耐震性能照査に用いる地震動
 3.1 耐震性能照査に用いる地震動
  (1) 対象地震
  (2) 耐震性能照査に用いる地震動の作成方法
 3.2 経験的方法による地震動の作成
 3.3 半経験的方法による地震動の作成
 3.4 理論的方法による地震動の作成
 3.5 ハイブリッド法による地震動の作成
 3.6 強震動作成手法によるダムサイト地震動再現の適用性
 3.7 震源断層同定の課題
 3.8 地震動評価の課題
 3.9 まとめ
第四章 動的解析による耐震性能の評価法
4.1 コンクリートダムの耐震性能の評価法
 4.1.1 線形解析法
  (1) 直接時間積分法とモード解析法
  (2) 応答スペクトル法
 4.1.2 非線形解析法
 4.1.3 米国の解析法
 4.1.4 二次元解析と三次元解析
 4.2 コンクリートダムの耐震性能の評価に関する研究事例
  4.2.1 重力式ダムの線形解析
    (1) 二次元解析
    (2) 二次元解析と三次元解析
    (3) まとめ
  4.2.2 重力式ダムの非線形解析
    (1) コンクリートの動的物性に関する研究事例
    (2) 堤体および基礎岩盤の非線形性を考慮した研究事例
    (3) クラック進展解析の研究事例
    (4) まとめ
 4.3 ロックフイルダムの耐震性能の評価法
  4.3.1 地震時の挙動
  4.3.2 動的解析法
    (1) 解析法の概要
    (2) 築堤解析
    (3) 等価線形法
  4.3.3 フイルダムの耐震性能
    (1) すべり安全率による評価
    (2) 堤体の変形・変位による安全性の評価
 4.4 ロックフイルダムの耐震性能の評価に関する研究事例
  4.4.1 すべり円弧の安全率に対する解析手法
    (1) 渡辺・馬場(1981)のすべり安定評価法
    (2) 長野県西部地震を受けた牧尾ダムの解析事例
    (3) 兵庫県南部地震を受けた箕面川ダムの解析事例
    (4) 断層モデルから作成した地震動による金居原発電所下部ダムの解析事例
  4.4.2 堤体の変形性能に対する解析方法
    (1) すべり円弧の滑動変形に対する解析手法
    (2) 堤頂・法面の残留変形に対する解析手法
  4.4.3 まとめ
第五章 まとめおよび今後の研究課題
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