3. アンケート集計結果
3.3 施工会社の本社等
3.3.1 データの電子化
全体の85%が業務データの電子化について、メリットとデメリットの両方があると答えている。
メリットについての具体的な意見としては、省スペース、検索性の向上、情報の共有化、大量なデータ受渡しの迅速化、再利用による業務の効率化などが上げられている。
デメリットについての具体的な意見としては、紙での閲覧と比較して迅速な内容の把握に劣る、ペーパーレス化による省資源にはつながっていないことなどが多数の意見としてあげられている。
3.3.2 CAD
再利用頻度としては、CAD が6%となっている。
3.3.3 電子納品
全体の64%が現状の電子納品に関して、不満有りと回答している。
その内訳として、紙と電子の二重提出が要求されることが40%となっている。また、発注図面のSXF データが基準案を満たしていないことが多く、受注者の負担が大きいという意見もある。
3.3.4 ITの高度利用
IT関連の技術開発については、本社技術部門を主幹とする回答が73%であった。開発テーマの提案側は、現場工事部門39%、本社開発部門44%であった。企業者からのニーズによるものは4%と少ない。
今後注目すべきIT関連の開発テーマとして、重機運用(無人化、GPS の利用等)が27%、数値解析15%、測量・出来型管理13%、計測15%、品質管理15%となっている。
3.3.5 電子データの利活用
① データフォーマットの共通化
データフォーマットを共通化すると合理的であると思われるとの回答が得られたのは、水文観測データ、地質調査解析、ダムコンクリートの温度応力解析、施工計画関連などで、これらはおよそ50%以上の割合を占めている。
特にリフトスケジュール、堤体盛立計画、堤体安定計算が多く、70%程度であった。
② ソフトウエアの共通化
ソフトウエアを共通化すると合理的と思われるものは、データフォーマットの共通化の場合と比較すると低い傾向にあるが、その中でも、前述と同様の項目で、ダムコンクリートの温度応力解析、施工関連でリフトスケジュール、堤体盛立計画の割合がおよそ60%程度と多くを占めている。
③ 工事着手時に必要不可欠なデータ
工事着手時に必要不可欠なものについて、特に割合が多かったものは、水文観測、地質調査、ダムの設計(コンクリート・フィル)、コンクリートダム用材料、フイルダムの材料、転流工、施工計画と施工設備、準備工事、河流処理、ダム施工機械設備、掘削と基礎処理であった。
④ 業務が効率化するデジタルデータ
デジタルデータがあれば業務が効率化するものは、前述の工事着手時に必要不可欠なものと傾向は同様であるが、求める割合は全体的に低い。その中でも、施工関連のデータの割合が60%程度に上り、高い状況となっている。
3.3.6 ダムIT化に期待する将来像
三次元測量データなど、設計段階からの電子データを施工管理に積極的に展開すべき、との意見が多数寄せられている。