委員会・分科会活動/ダム事業のITに関する調査分科会
4. アンケート分析結果の傾向
 今回の調査対象となっているダム事業関係者(測量・設計会社、施工会社、企業者)における主な分析結果と今後の課題について以下に示す。
調査対象者のパソコンで使われているOS はほとんどがWindows で、バージョンアップ対応もできており、使用にあたっての問題はない。また、パソコンにインストールされている基本ソフトウエア(ワープロ、表計算等)はマイクロソフト系が主流になっているが、ワープロソフトは企業者側においてジャストシテム社の一太郎も対応が可能となっている。しかし今後のダム事業の効率化を目指すためには、ダム事業者が扱う共通の基本ソフトウエアは何かを調査結果により更に分析する必要がある。
調査対象者の電子メールのやりとりは通常化しており、様々な情報交換は活発に行われている。電子メールの添付ファイル容量は、地域による通信回線の制約や機関によるサーバー容量等の制限の関係で本調査の関係者間においては2MB 以下であれば対応が可能である。ダム事業関係者間では図面等の容量の大きいファイルをやりとりする必要があり、電子メール以外の効果的な交換方法を視野にいれて検討する必要がある。
測量・設計会社~施工会社~企業者間での情報交換における電子化資料と紙資料の取り扱いについては、何を紙か、何を電子データにするかについては、現状の詳細分析を行い、具体的な情報を整理する必要がある。
測量・設計会社や施工会社内での情報交換における電子化資料と紙資料の取り扱い範囲については、大小さまざまな多くの会社との関係になるので、定着していない。どこまで電子化が必要なのかを整理することが課題である。
測量・設計会社~施工会社~企業者内では、組織毎にダム事業に関係する貴重なデータをそれぞれ蓄積しているが、会社や組織の垣根を越えてデータを有効に活用しているケースはほとんどない。さらに現状を整理して、組織や仕組みづくりの提案が必要である。
電子化資料の蓄積は活発に行われているが、データを利用するための共通インターフェイス的なものがないので利用にあたっては手間と時間がかかる。使用頻度の高いデータについて共通インターフェイスを考える必要がある。
ダム事業における電子納品は、受注者である測量・設計会社や施工会社では手間やコストをはじめとして大きな負担となっている。また、電子納品されたものを事業の下流側の段階で使用しようとしたときに、図面等が扱いづらく現在の標準仕様による利用価値は低い。ダム事業の分野毎に求められる効率的な電子化の仕様を考える必要がある。
ダム事業の計画から設計、施工、管理まで見据えた長期間に対応できる電子化資料の標準化は未整備である。最終過程である管理の姿を基本として、上流の計画段階から標準化についての研究する必要である。
ダムIT 関連のシステム化は、使用頻度が高い仕事への活用が期待できるので、対象となる業務や工事を抽出し分析する必要がある。
ダム事業におけるCAD ソフトのディファクトスタンダードはAutoCAD である。社会環境を考慮してダム事業の業界としてどのような対応をするのか考える必要がある。
CAD の目的は、本来、設計施工の合理化や支援ツールを目的に利用されるべきであるが、現状は図面編集機能しか使われていない。現在の使用状況を詳細整理し、本来の目的に照らし合わせてダム事業におけるCAD の使い方について検討する必要がある。
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