インドネシア国 ビリビリ(Bili-Bili)多目的ダム

目的/ダムタイプ

洪水調節(F),上水道用水(W),工業用水(I),灌漑用水(A),発電(P)/中央コア型ロックフィルダム

堤高/堤頂長/堤体積

73.0m/1,400m(主ダムのみ)/6,500千㎥(主ダム+脇ダム)

総貯水容量/総湛水面積

3.75億㎥/-

事業主体

インドネシア公共事業省水源総局

完成

1999年

関連
企業

政府
機関

本体
施工

土木

㈱ 間組

鉄構・鉄管

 -

電気

 -

コンサルタント

㈱ 建設技研インターナショナル(設計・施工管理)

資金リソース

国際協力銀行(円借款)

●計画概要
南スラヴェシ州の州都であるマカッサル市は、百万人以上の人口を持ち、東部インドネシアの社会経済の中心として発展を続けている。しかしながら、その急激な都市化により、マカッサル市及びその周辺は毎年のように雨期の洪水、乾期の水不足に悩まされてきた。このような慢性的な水問題を緩和し、経済の発展及び人々の生活の安定を図るために、ジェネベラン川総合開発マスタープランが策定され(1981年)、その中心として提案されたのがビリビリ多目的ダムである。

ジェネベラン河は流域面積約725km2、総延長約100kmの中規模河川で、水源である標高約2,800mのバワカラエン山から西へ流れ、最下流でマカッサル市を貫流する。ビリビリ多目的ダムは、このジェネベラン河口から約30km上流の渓谷部に計画され、50年確率洪水を調節、3.3m3/sの都市用水を確保、25,000haの水田に灌漑用水を供給する機能を持っており、ダム高73mの中央コア型ロックフィルタイプ、有効貯水容量3億4千6百万m3として設計された。

●環境対策関連
本事業ではダム建設に伴い2,085世帯の住民移転が実施された(1990-97年度)。実施機関である公共事業省は84年以降、開発計画の概容や補償に関して、数次にわたり地元への説明を実施し合意を得た。補償価格は、土地、家屋等の市場価格にそったものであった(補償実績約45億円)。移転については、2,085世帯の移転対象者のうち、618世帯は移住省の移住プログラム(Transmigration Program; TP)下で南スラウェシ州北部のマムジュ県(計5移転地)およびルー県(計1移転地)に移住し、1,467世帯は自らの選択でダム湖周辺に移住している。(Self Choice Program; SCP)。
本事業により9,605haの森林伐採が行われ、1,850haが水没したが、事業実施期間中に実施された環境影響評価に基づき、同ダム周辺に植樹によるグリーン・ベルトが形成されるなど植樹等の環境保全措置が講じられている。

(出典:2004年度円借款事業評価報告書)

●ダム及び付帯設備諸元
 ・ダム(主ダム)   堤高   :  73m
             堤頂長  : 1,400m
・ダム(脇ダム)   堤高   :  42m
            堤頂長  :  400m
            総堤体積 :    6,500千㎥
 ・貯水池  総流域面積 :     384㎢
        常時満水位 :    EL99.5m
        総湛水面積 :      18.5㎢
        有効貯水容量:   346,000千㎥
        設計洪水量 :     3,800㎥/s    (PMF)
 ・洪水吐        :型式×門数;ローラーゲート(幅7.0m×高7.7m×2門)
              :型式×門数;自由越流堰(幅20m×4門)

             :放流能力 ;2,000 ㎥/s

●プロジェクト位置図

インドネシア国スラヴェシ島

  

●工事進捗状況/写真
ビリビリ多目的ダム建設事業は、国際協力銀行(JBIC)の融資を受け1992年に着工、付け替え道路工事、転流工トンネル工事を進め、1994年にダム本体工事着手、1997年末に本体盛り立て工事、洪水吐き等コンクリート工事をほぼ終え試験湛水を開始した。その後、管理棟、各種付属施設の建設を進め1999年に完工した。

定礎式(1996年4月)

  
    

堤体盛り立て工事状況(コンタクトスラリー、岩着コア材、ロック材盛り立て)

ビリビリ多目的ダム完成写真(1999年)

  

 

 

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